10年前に家を建てた。白壁にベージュの屋根、煙突（ニセモノだけど）、スタイリッシュな窓、そんな素朴でアンティークな北欧スタイルの家が完成したとき、その見事な風合いにご近所さんも見学にくるほどだった。予算を押さえるためにケチるところはケチり、かけるところはかける。そうして私の理想の家になったのだ。

私たち家族が家を建てたのと同じころ、友人も家を建てた。友人の家はグレーの壁にグレーの屋根、窓も一見無機質で見たところ何の遊びもない、ごくごく普通の家、という感じだった。私はその家を見たとき、何とコメントしていいかわからなかった。どこにもこだわりなど感じなかったし、何だかただの箱のようだったからだ。

けれども10年経ち、事情は変わってしまった。うちの白壁は窓の端から黒い線が垂れ、いかにもみずぼらしく、ベージュの屋根の色はすっかり褪せてしまった。窓なんか結露で窓枠がカビてしまって困っている状態だ。

一方で友人の家は、グレーの壁と屋根は汚れが目立ちにくいし、窓もペアガラスだったので結露が付きにくく、掃除もマメにしているようでカビなんて全く生えていないらしい。あの頃は私たちの家の方がゴージャスだったというのに…。10年経った今、友人の家はまだ新しさが残っているのに、うちは年季を感じる家になってしまい、すっかり差がついてしまった。天井や壁は塗りなおせるにしても、窓枠のカビはどうにもならない。あのときペアガラスにするんだった…と苦い後悔が押し寄せるが、もう遅い。だけどせめて今からでも結露が無い窓に変えたい！と強く思うのだった。